ライブツールの発注でもっとも誤りが多いのがこの点です。機械の銘板にある機種名は取付方式を示しません。決めているのはタレットです。しかも両者は同じ考え方の変種ではなく、取付の仕組みそのものが異なります。

BMT は面座取付です。ホルダの平らなフランジをタレットディスク上の機械加工された座面に直接ボルト締めし、駆動入力はカップリングを介して伝達します。位置決めはこの座面とボルト穴配置で決まります。
VDI はシャンク取付です。ホルダの円筒シャンクの一面にラック歯があり、タレットが背面から掴んで取付穴へ引き込みます。位置決めは穴で決まり、締め付ける前に任意の角度へ回して合わせられます。


銘板ではなく、タレットディスクそのものを見てください。外周に丸い穴が並び、その脇にクランプねじがあれば VDI です。平らな機械加工座面にボルト穴と位置決めキーまたはカップリングがあれば BMT です。ホルダが軸方向に差し込まれて背面から締結されるなら VDI、座面に載せてボルトで引き付けるなら BMT です。
銘板では判断できません。同じ旋盤の機種でも、製造年や仕向地によってどちらのタレットでも造られていることがよくあります。
VDI は速さと調整の自由度が持ち味です。ステーションの交換が速く、締め付ける前にホルダを必要な角度へ割り出せます。高さはシャンクで決まるため、プリセットも扱いやすくなります。
BMT の強みは結合部そのものにあります。広い平面接触を複数本のボルトで保持するため、ライブツールの剛性と繰返し精度がもっとも問われる場面で選ばれるのが普通です。引き換えに、ステーションの交換には時間がかかります。
VDI は公開された規格です。シャンクとそのセレーションが規定されており(DIN 69880、現在は ISO 10889)、VDI 30 のシャンクは誰が造っても VDI 30 です。BMT は ISO や DIN で公開された規格ではありません。呼び寸法 — BMT45、BMT55、BMT65、BMT75、BMT85 — はおおよそどの系列かを示すだけで、ボルト穴の位置、キーの位置、ライブツールのカップリングは機械メーカーによって、また同じメーカーでも世代によって異なることがあります。BMT のご発注に機種名と、できればタレット面の写真が必要なのはこのためです。VDI であれば通常はサイズだけで足ります。
タレット面を正面から撮った写真、機種名、ステーション番号。ほとんどの場合はこれだけでインターフェースを特定できます。タレット図面をお持ちであれば、そちらをお送りください。お見積りの前にボルト配置とキー位置を照合します。この確認は無料です。
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